ガーダントヘルスジャパン株式会社

がん遺伝子パネル検査の種類

がん遺伝子パネル検査の種類

各がん遺伝子パネル検査には、主に以下の違いがあります。

  • 検体(血液、がん組織)
  • 調べられる遺伝子異常の種類
  • コンパニオン診断
  • 費用

検体(血液、がん組織)

検査に必要な検体は、各がん遺伝子パネル検査によって異なり、全血検体とがん組織検体の両方、もしくはそのどちらかが使われます。

検体の採取方法

全血検体の場合、採取方法は採血です。一方、がん組織検体の場合、検体採取のために新たに生検*を行うか、過去に手術などでがん組織を採取していれば、それを使用できる場合もあります。

全血検体の場合
採取方法:採血

がん組織検体の場合
採取方法:
生検、もしくは手術

コラム

どうして血液からがんの遺伝子異常がわかるの?

身体に固形がんがある場合、血液中にはがん細胞から漏れ出たDNAが循環しています。このDNAを調べることで、がん細胞で生じている遺伝子異常を知ることができます。近年は検査技術の進歩により、DNAが微量であっても、従来よりも高感度に血液中のDNAから遺伝子異常を検出できるようになりました。

コラム

がん細胞の遺伝子異常は、時間が経っても同じ?

がん細胞の遺伝子異常は常に同じ状態ではなく、時間の経過とともに分子標的薬による治療などによって変化することがあります。この時間的経過の中で、特定の薬剤が効きにくくなる(薬剤耐性)ような遺伝子異常が生じる場合もあるため、がん遺伝子パネル検査で得られた遺伝子情報がいつのものであるかは、医師が治療を考える上で重要となります。全血検体では採血時点での、がん組織検体では手術時または生検時でのがん細胞の遺伝子情報を知ることができます。

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検体の採取から検査結果がわかるまでの流れ

全血検体の場合、採血で得られた血液はがん遺伝子パネル検査に提出され、後日、医師から検査結果の説明を受けます。
受診したその日に採血が可能な場合もあります。

検体の採取方法

がん組織検体の場合、新たに生検を行う必要があると判断されれば、日程を医師と調整して生検を実施します。
採取されたがん組織は、病院で薬品により加工された後にがん遺伝子パネル検査に提出され、後日、医師から検査結果の説明を受けます。過去に手術などで得られたがん組織を検体として使用する場合は、採取の日程調整や生検は不要です。
一般的には、がん組織よりも血液を用いた検査の方が早く結果がわかります。具体的な所要日数については医師にお尋ねください。

コラム

がん組織の細胞は、すべて同じ遺伝子異常を持っているの?

がん組織は、いくつかの遺伝子異常を持った細胞の集まりでできており、一つのがん組織の中でも部位によって遺伝子異常が異なることがあります。また、最初にあったがん(原発巣)が他の臓器に転移している場合、それらのがん組織で生じている遺伝子異常は臓器間で異なることがあります。全血検体を用いたがん遺伝子パネル検査では、がん細胞から血液中に漏れ出たDNAを調べるため、一つのがん組織全体の遺伝子情報や、異なる臓器にある複数のがん組織全体の遺伝子情報をまとめて知ることができます。

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調べられる遺伝子異常の種類

がん細胞で生じている遺伝子異常は数百種あるといわれ、そのうち調べられる遺伝子の種類は、各がん遺伝子パネル検査によって異なります。
たとえば、遺伝子異常の一つ「高頻度マイクロサテライト不安定性」(MSI-High)*(コラム)を調べられるがん遺伝子パネル検査があります。また、遺伝子異常の中には特定の遺伝子の数が増える「遺伝子増幅」もあり、これを調べられるがん遺伝子パネル検査もあります。

MSI-Highという遺伝子異常が見つかった場合、
それに合った免疫チェックポイント阻害薬を
使用できることがあります

コラム

がんには、どれくらいの割合でMSI-Highがあるの?

主ながん種別でみたMSI-Highが生じている割合
(国内役3万例のデータ)

検体数100以上のがん

がんの種類  
MSI-Highの割合

  • 子宮内膜がん17%
  • 小腸がん9%
  • 胃がん7%
  • 十二指腸がん6%
  • 結腸・直腸がん4%

検体数100未満のがん

がんの種類  
MSI-Highの割合

  • 上部尿路がん17%
  • 副腎がん12%
  • 精巣がん9%
  • 尿膜管腫瘍5%
  • 虫垂腫瘍5%

Akagi K, et al. Cancer Sci. 2021; 112(3): 1105-1113. より作成

コンパニオン診断

コンパニオン診断とは、特定の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の効果や副作用を予測するために、事前に行う診断です。
保険適用のがん遺伝子パネル検査を受けて、コンパニオン診断として国に認められている遺伝子異常が見つかれば、それに対応する薬剤も保険適用内で使用できます。このコンパニオン診断の内容は、がん遺伝子パネル検査の種類によって異なります。

費用

がん遺伝子パネル検査は、基本的に保険適用内の費用で受けられますが、一部、保険適用外のものもあります。また、患者さんの保険内容(自己負担割合の違いなど)によっても負担費用は異なります。詳しくは医師にご相談ください。

*用語説明

  • 生検 病変の一部を採取し検査すること。
  • MSI-High DNA配列の一部で見られる繰り返しの数が、増えたり減ったりする遺伝子異常。MSI-High に対して、免疫チェックポイント阻害薬が保険適用となっている。